KK006
cat#
KK006
title:
True Delusion
artist:
Andrey Kiritchenko
time:
40’29"
format:
CD

tracklist

1.
Scope of my perception
2.
Both my sides
mp3
3.
Kind in malice
4.
Good of bad
5.
Illusion of safety
mp3
6.
Illusory self-motion
7.
Optical illusion
8.
Agravic illusion

Text by Andrey Kiritchenko

2004年の初めにアイディアを思いついて、アコースティックギターで作ったミニマルな倍音の実験を始めてから、アルバムTrue Delusionの制作が終了する2004年の終わりまで、10ヶ月が経った。最初の6ヶ月は考えたりヴィジョンを描いたり、旅行をして普通の部屋とかキッチンで楽器の録音をしてみたり、夜や昼間の田舎の自然の音を録ったりしていた。最初のアイディアそのものはとてもシンプルだった。ミニマルな倍音の実験でギターを弾こうと思った。しばらくして、僕はギターの音に合わせて深いリズミックな息をしてみた。結果は瞑想的といってもいいぐらいで、ギターの振動音がゆっくりフェイドアウトすると、体が過呼吸状態に近くなっている感じだった。だけど、作曲面でさらなる進歩をしたい、という願望から、僕は反復やミニマリズムという範囲を越えることにした。その後、アルバムはピアノを似た感じに使う、という点で進歩した。それは全くの倍音ではないけれど、音はスロウでメロディックでミニマル、だからこのアルバムは普通に言えば2つのパートに分けられる。

Andrey kiritchenko interview (interviewed by Denis Kolokol @ Indie ezine)


1. アルバム“True Delusion”のレコーディングの技術的な部分について教えてもらえますか?

このアルバムは、二つのロジカルな部分の構成に重点が置かれています.一つは、ギターパート、ふたつめはピアノパートです。自宅でギターとコンタクトマイクを使い、オブジェクトなどの音を実験的に録音しました。友人の家でソビエト製のピアノ、Kharkivとその周辺で録音したフィールドレコーディングを使用しました。それらの録音を元に作品を作り上げていきました。

2. このアルバムは、リバーブ処理された音響とメロディーのシーケンスのインタラクションを基盤としています。あなたの作品の中でメロディーは、どのような役目を担っているのでしょうか?

この作品は、ただ実験をする目的だけのために作られた作品ではありません。True Delusion”は、一つの明確なアイデアを表現するために作られています。他の言葉で表現すると、 的確な意図がありました。ですから全ての使われた音は両価性を表現するための核心を持つ素材でした.また、聴衆との対話も同じように重要でしたから、そのためにメロディーは、人を感動させ、味わい深いフレイバーを出すために必要でした。

3. アルバムに入っているいくつかの音は、偶発された物だと思います。この音楽は、今、何かが起こっている状態から“居る場所と今”のような物に関係していると思うのですが、偶発的に録音された音の影響は、あなたの作品にとって重要ですか?

作品のほとんどの部分が作り込んだ物と意図的ではない音から作られています。私が目的とするベーシックなアイディアは素晴らしい偶然の拡張/増加、また一般的でない手法と音響です。

4. 静寂的なあなたの音楽に関わらず、リスナーは常に 音楽がとても過度の限界にあるような時と同じようなテンションを感じることを強いられます。

全ての物に良い部分と悪い部分があります。リミットのない音楽が絶対的にポジティブな物である以上、境界を越えた音楽が悪い物だとはいえません。自分の音楽の中では、ルール、コーディネート、限界に応じた時空間を作ろうと思っています。音楽を聴いている間に自分の存在を意識する方がこのような音楽を知覚するためには簡単だと考えています.それこそが、環境音楽ではないでしょうか?

5. あなたは、時々本に影響を受けて音楽を作ると聞きました。さらにこのアルバムは、そのストラクチャ−さえも本を読む感覚を音楽で表現した物だと聞いています."True Delusion"を制作する際にインスパイアされた特定の本があるのでしょうか?または、自ら執筆した本があるのでしょうか?

実際、どうしたら 本を書けるのかわかりません.執筆をどのように始めるか、またそれをどのように進めていくかなどの方法は、私にとってとてもミステリーです。ですから、私が本を書いているなどと言うのは全く適当ではありません。私が持つアイディアは音響ですが、表現しようとしているものは、自然の中にある両価性であり、このアルバムの構想であり、傾向です。