KK019
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KK019
title:
Transcriptions
artist:
Stephan Mathieu + Taylor Deupree
time:
48'53"
format:
CD

tracklist

1.
Nocturne
2.
Largo
mp3
3.
Solitude
4.
Remain
5.
Andante
6.
Genius
7.
White Heaven
8.
Solitude of Spheres
mp3

Text by SPEKK

本作は、両者それぞれの独と米のスタジオで2007年夏〜2008年秋にかけて制作されたもの。 当初はステファンのソロアルバムとしてリリースする予定だったが、さらなる奥行きを求めた ステファンがテイラーに声をかけ実現したコラボレーション。アルバムのテーマとなっているのは、 ステファンが趣味で所有している古いワックス・シリンダーや78rpmの音源で、 今作の所々にもなつかしい趣きの、主に1900年〜1910年代の音源がアナログ感たっぷりに 聴こえてくる。ワックス・シリンダーとはアナログレコードの元祖となるもので、 1887年に発明された128rpmで走るシリンダー状のレコード。また 78rpmのアナログ盤も、 その頃に発明されたセラックを原料とした円形状のレコードで、現在のアナログレコードの 原型となるものである。いずれもグラモフォン(或はフォノグラフ=現在で言うアナログ・ プレイヤー)と呼ばれる機械で再生されるものだが、ステファンは実際に78rpmをまるでバンド 録音のように2つのポータブルのグラモフォン機で再生/マイク録音し、リアルタイム加工を施し ラップトップに録音。(なおワックス・シリンダーのほうは、再生機を保有していないため知人に 音源を録音してもらう。)ただし録音された音源はレコードの特性上700Hz-4000Mhz間の周波性 でしか再生されないので、より「作品」らしく機能させるためにテイラーに曲を託す。テイラーは 必要な音場を稼ぐために時には大胆にEQをかけアコースティックギターやアナログシンセを入れて ミックス、ステファンもピアノなどを足して加工をくり返し完成させた。その結果は、ステファン 自身が「2つの声が混じり合い、1つの歌を歌えた」というくらい納得の完成度の高い コラボレーションとなる。ちなみにジャケットの写真はステファン撮影による78rpm盤の表面である。