フェデリコから、2017年春に来日するのでぜひ共演したい、というメールがあったのは、2016年秋だったと思う。ツアー会場で販売できるように限定コラボ作品もできるとい
いね、ということも、その頃には話していたが、実際の作業に移ったのはツアーの打ち合わせも佳境となってきた2017年2月半ばだったと思う。この時はほんの二週間くらいで7
曲が完成した。基本的にはフィールドレコーディング音をお互いに送り合い、相手から来た音をもとに楽器を弾いたりプロセスしたりしてもう片方が仕上げる、という手法を取
っている。よく聴くとどちらがどの曲を担当したかわかるのだが、そこはあえて明らかにせず、全体を共作という形にまとめた。フェデリコとの関西ツアーでは、ジャケット絵
を描いてくれたfuuyamnのライブペイントとの共演(神戸・旧グッゲンハイム邸)も盛況のうちに終了し、奈良・日+月+星での公演も大好評で終えて、翌日はみんなでゆっく
り奈良を散歩した。その後、神戸公演の制作を担当してくれた「ねこのて舎」のお二人と一緒に、伊賀の芭蕉ゆかりの史跡に案内してもらい、フェデリコは大きな感銘を受けた
様子だった。それからフェデリコは長い旅路を経てアルゼンチンに帰国し、パタゴニアの山小屋でのコンサートを開催した。作業の続きに着手したのは2017年5月くらいだろう
か。このときも何度かやりとりを経てあっという間に追加の曲ができ、ミックスのやり直しも含めて全体のバランスを整えた。その音源をSPEKKのNAOさんに聴いていただき、
fuuyamnにジャケットの依頼をし、というのが経緯である。制作のときの不思議な話は、中ジャケットをおたのしみに。