私は子供の頃のことを良く思い返す。私が落葉松と美しい緑色の湖を初めてみたのは、祖父母がアルゼンチン南部の山や森に連れていってくれた時のことだった。自分はその旅の最中に風邪を引いてしまったが、それでも祖父母は私を池まで散歩に連れていった。そのような状態で、とても曖昧な記憶だが、エメラルド色の水面、木の橋、花なんかが、今でも夢のように脳裏に残っている。それから、時がだいぶ経ち、ブエノスアイレスの美術館に併設されたガーデンカフェに妻と座ったときのことである。傍には飾りのような池、ユリやアシの植物があり、それらを見つめていた時に、突然その子供の頃に訪れた池の記憶が鮮明に蘇ったのである。この作品「エメラルドグリーンの池」は、その情景を音にしたものである。このアルバムを制作するにあたって、色んな楽器を用いましたが、極力シンプルな聴こえ方になるよう意識しました。小さなメロディーやカセットテープ等の素材、それらの中には私が住むブエノスアイレスの路上に30年も前から転がっていたものもあります。このエメラルド池までの旅を、どうか楽しんでください。